2020/11/11
映画レビュー『12人の怒れる男』と換気
スタッフブログ
クレバリーホーム相馬店の中島です。
今週の映画レビューです。今週は映画と換気のお話です。
『12人の怒れる男-評決の行方-』
監督:ウィリアム・フリードキン 脚本:レジナルド・ローズ
1. 会話劇の金字塔
12人の怒れる男は密室会話劇の中で燦然と輝く金字塔、と言っても過言ではない作品です。12人の陪審員たち(=怒れる男)が裁判所の一室で被疑者が有罪か無罪を討論する、討論する中でアメリカという国の歴史や問題、個人の価値観が浮き彫りにされていく、という非常に上質な脚本です。
そもそも日本で陪審員裁判が導入されたのは2009年からで、未だに浸透しているとは言い難い制度(日本の制度はアメリカの制度とは異なります)です。いきなり裁判の話と聞くと難しいのですが、この映画を見るときに意識すればいいのは、「満場一致で有罪か無罪かを決める」という1点のみです。誰かひとりが反対すれば満場一致にならないのです。
作中冒頭、陪審人12名の内11名の間には検察官の主張通り有罪ではないか、有罪でいいのではないか、という雰囲気が流れています。しかし、ただ一人陪審員8番は「みんなで話あってから決めましょう。話し合ってから有罪にしても遅くない」として、無罪を主張します。無駄な討論などしたくない、あるいは最初から有罪と確信している他の皆からすると迷惑なだけです。
陪審員8番も被疑者が無罪と信じているわけではないですが、一つ一つ皆が有罪と信じる理由について検証していくことで、もしかしたら有罪ではないのではないか、先入観や偏見で有罪にしてしまったのではないか、と周囲の意見を変えていきます。
アメリカという多様性の国の中にある移民や黒人に対する偏見、富裕層と貧困層の断絶、時代によって変遷する親子の関係、そして個人の正義の実相が会話の中から浮彫にされていく、重厚な脚本です。これが、劇的なアクションや展開なしに、ただ会話のみで構成されている点が一番面白い点でしょう。
2. 換気について
さて、本作は裁判所の1室で行われる会話劇ですが、この部屋はなんとも「密室」といった雰囲気で窓も小さく、換気扇も故障しています。
昨今の住宅では、気密性が非常に高まり部屋の温度が外気に左右されなくなったメリットがある一方、建材から出る化学物質が滞留するという問題も抱えています。
そこで、政府はこの対策として1時間で0.5回、つまり2時間で部屋全体の空気が入れ替わるよう計画的な換気設備の設置を義務付けました。また、化学物質は年月が経てば減っていきますが、その他にも人間の吐き出す二酸化炭素や、一酸化炭素、ホコリなどが室内に溜まるため換気が必要です。
この換気システムは3種類ほどあり、家づくりを行う際はどんな換気システムを備えているか、必ず確認してください。
1. 第1種換気
第一種換気は給気、排気ともに機械換気で行い強制的に換気をします。そのため、空気の循環を管理する上では最も安定していると言えます。しかし、他の換気方式よりも設備が複雑になるため高価になります。
2. 第2種換気
第二種換気は給気を機械的に行い、排気は自然に排気口から行います。機械的に空気を取り込むことによって外部より室内の気圧が高くなるためドアを開けた際などに外部から塵やホコリが入り込むのを防ぎ室内を清潔に保ちます。
※こちらは、気密の低い建物では室内の湿気を含んだ空気が壁内に入り込み、冬の寒い時期にはそこで結露が発生し家を傷める要因となってしまいます。そのため住宅で用いられることはあまりありません。
3. 第3種換気
第三種換気は排気を強制的に機械で行い、給気は自然に任せます。第一種換気よりもイニシャルコスト、ランニングコストともに抑えることができ、住宅において最も一般的に使われている換気方式です。
実際に家を建てる際は、間違いなく第1種換気が望ましいです。なぜなら、第一種換気は熱交換換気装置を備えることで、取り込んだ外気を室温に近づけ給気することが可能です。
住宅の換気による熱損失は30%と言われ、せっかく断熱性を上げ外の気温の影響を受けにくい住宅にしても、換気で暑い、寒い外気が入ってきてしまいます。
そこを熱損失の少ない熱交換換気にすることで、室温を快適に保ちエネルギーを無駄にすることなく換気を行うことができるのです。
さらに詳細な換気について、クレバリーホームの換気システムについて知りたい方は、是非、モデルハウスへお越しください。